本研究では超シャロウバンド物質である鉄系超伝導体FeSeに焦点をあて、ドイツ・ドレスデン強磁場研究所、およびオランダ・ナイメーヘン強磁場研究所における極低温・強磁場中での熱輸送おび電子輸送測定を通じて、BCS-BEC クロスオーバー領域にある量子凝縮状態の特異性の解明に取り組んだ。特に、未踏の極低温・強磁場環境における熱伝導率測定を確立し、FeSeにおいて低温高磁場中で一次相転移によって隔てられた新奇超伝導状態が実現していることを見出した。これは、有限の重心運動量を持ったクーパー対が形成されるFFLO状態の実現を示すものと考えられる。
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