研究課題
本研究では微小光共振器を用いた非線形光学効果の増強による光子源や光子の量子操作を可能にする量子光学を目指している。例えば、本課題である「光周波数領域におけるユニバーサル量子操作」では、光周波数を基底状態とした多次元ヒルベルト空間上の量子操作を目指しているが、多重化を現実的な励起光強度で実現するためには、非線形光学効果の増強が重要となる。高いQ値を実現する微小光共振器においてはこの非線形光学効果の増強が顕著であり、様々な非線形光学現象が観測されている。現在、このような理想的な光共振器はWhispering-Gallery Mode(WGM)型のものが世界的に研究されており、10の9乗程度の超高Q値が実現されている。本年度は国際共同研究を通じて、特にこの微小光共振器の研究を推進した。滞在先はトロイド型WGMの研究で先進的な研究成果をあげているLan Yang教授およびSahin Kaya Ozedemir准教授の研究室である。トロイド型WGMのサンプルを阪大実験室で利用した光制御の基礎実験としてパルス伝搬と弱測定に関する研究およびErドープによる共振器結合制御によるパルス伝搬制御に関する研究を論文に纏めることができた。また、シリカのもつ3次非線形光学効果の増強を実現し、3次高調波および2次高調波発生を実現し、論文にまとめた。この間に新しいタイプの微小光共振器であるボトル型光共振器の作成にも成功し、上記の実験のために用いている。加えて、微小共振器の機械振動モードの励起も実現し、新たな研究テーマとして発展させている。
1: 当初の計画以上に進展している
共同研究による論文発表も順調に行われており、全く問題ないため。
微小光共振器のうち、ボトル型光共振器の作成方法には成功しているものの、歩留まりの悪さもあり、今後の実験の実施のためには更なる作成方法の改良が必要である。本年度は作成方法の確立に向けた研究を行う。また、当初計画でもある2次非線形媒質による波長変換によるカルシウムイオンとの量子インターフェースの実験にも取り掛かる。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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