研究課題
本研究では非線形光学効果の増強による光子源や光子の量子操作を可能にする量子光学を目指している。例えば、本課題である「光周波数領域におけるユニバーサル量子操作」では、光周波数を基底状態とした多次元ヒルベルト空間上の量子操作を研究しているが、多重化を現実的な励起光強度で実現するためには、非線形光学効果の増強が重要となる。高いQ値を実現する微小光共振器においてはこの非線形光学効果の増強が顕著であり、様々な非線形光学現象が観測されている。現在、このような理想的な光共振器はWhispering-Gallery Mode(WGM)型のものが世界的に研究されており、高いQ値が実現されている。これまでの研究期間において、微小光共振器のうち、ボトル型光共振器の作成に成功しているものの、歩留まりの悪さもあり、今後の実験の実施のためには更なる作成方法の改良が必要であった。本年度はこれまでの方法を自動化した微小共振器作成に成功した。また、2次の非線形光学結晶であるPPLN導波路に光共振器構造を付加することで、非線形光学効果を増強し、高効率なパラメトリック増幅を実現した。光周波数領域におけるユニバーサル量子操作のもう一つの発展として、ある光周波数にある量子系から別の光周波数の量子系へ量子状態を壊さずに変換する量子インターフェースがある。サセックス大学に滞在し、トラップされたイオンから発生した単一光子の周波数を変換し、光通信周波数で10kmの光ファイバー送信を行うことに成功した。
2: おおむね順調に進展している
予定していた英サセックス大学へ滞在し、イオントラップと光周波数変換の融合実験を予定通り行い、論文投稿を行うなど、十分な成果を得ることができている。
微小共振器および光周波数変換ともに順調に研究が進み、国際的なネットワークも構築できている。これを更に進める予定である。
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Physical Review Letters
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