研究課題
私たちは、結晶試料から放出される電子の全方位角度分布(ホログラム)に様々な物理現象発現や固体物性の情報が記録されている点に注目し、表面磁気相転移をはじめとする表面電子物性を研究している。本国際共同研究では、実験拠点(スイス新規光電子回折ビームライン[PEARL])にて見出された新規物理現象解明と光電子ホログラムの高効率投影型分析器[PESCATORA]開発を軸に、原子レベルでの表面・界面物性研究を推進することを目的とする。本年も本務の授業のない夏から秋にかけ3カ月スイスに滞在し、共同研究を進めた。(1)共同研究者Muntwiler氏とともに表面構造に関する国際会議ICSOS(Atlanta)で成果発表を行った。松井は招待講演を行い同国際会議の国際アドバイザーに就任した。(2)共同研究の成果の一部を2報Phys.Rev.B誌から出版した。Auger電子回折の円二色性という新規物理現象とグラファイトのkz分散に反映される原子軌道配列の解析法に関する基礎的に重要な研究である。他にも総説4報を含め多数の論文を執筆した。(3)ビームラインPEARLに申請していた3件の実験提案が採択され、1カ月にわたり実験を行った。Bi2Se3,TiO2,SiC表面およびバルクの結晶構造を解析した。(4)新規分析器PESCATORAの展開を進めた。欧州での製作についてメーカーと打ち合わせを行っている。国際特許のドイツ・米国への権利移行を行った。(5)エネルギー損失電子回折の論文執筆を進めている。ステップのない2H構造を持つMoSe2やMoS2表面を用いると反転対称性のない原子配列の光電子回折を測定することができる。エネルギー損失電子回折がそれぞれの元素でそのように変化するか詳細に調べている。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 4件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 12件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件) 図書 (3件)
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