研究課題
原子核のベータ崩壊における相関精密観測により、自然界の最も基本的な対称性である時間反転対称性を最も高い精度で検証する実験の遂行とこのMTV実験の国際化を伴う発展が本研究の目的であり、具体的にはTRIUMF研究所に設置した円筒型ドリフトチェンバーと加速器から供給される偏極リチウム-8原子核ビームを組み合わせた測定を国際共同研究として行った。併せて、加速器を用いず、放射線源を用いた長期測定によるローレンツ対称性のテストの現地検証も行い、国際化による発展として新たな研究の方向を見出すことが出来た。本研究の海外の現場での活動を完了した後、最終年度は主としてそれまでに得られたデータの解析を進めると共に、検出器の較正試験を国内にて行った。結果として、偏極した原子核の半減期の時間変動の形で、弱い相互作用におけるローレンツ対称性の検証のデータ得られていることを確認し、混入する系統誤差の徹底的な調査を進めた。時間反転対称性と併せて、本研究で発展的に考案されたローレンツ不変性の検証と太陽ニュートリノ起源の新現象の検証に対しても有効なデータ収集に成功し、重要な結果を得る事が出来た。これらの実験はごく最近、注目されてきたもので、TRIUMF研究所の研究者らと議論しながら実験のデザインを行った。 これらの解析を進め、学会で発表した。MTV実験に続く展開として、TRIUMF研究所におけるローレンツ対称性の検証を主眼とした新プロジェクトの立案と、同じくTRIUMF研究所における陽電子を用いた量子力学の基礎に関する実験研究の議論等、本研究に続く国際化の展開に繋がる成果をあげることができた。
TRIUMF研究所における主な共同研究者:John Behr (Research Scientist, TRIUMF研究所)の他、 Martin Alcorta (ISAC Detector and Target Physicist, TRIUMF研究所)
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