研究課題/領域番号 |
15KK0179
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
坂井 三郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 生物地球化学研究分野, 技術研究員 (90359175)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2018
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キーワード | レーザー分光 / 中赤外 / テラヘルツ |
研究実績の概要 |
本国際共同研究の目的は、基課題の研究である(1) 海底下地質試料、氷床試料、地球外物質などに含まれる超微量成分の計測技術の開発、(2)「はやぶさ2」で得られるカプセル中の極めて微量な揮発成分の迅速かつ信頼性の高い多成分同時計測を可能にする技術の構築、を強化することに加えて、発展研究として (3) 生体高分子の分子間振動や水素結合に起因する光の吸収が存在するテラヘルツ領域(電波と光の境界領域)に応用範囲を拡げて、生体高分子の識別・定量法を開拓することである。 研究計画としては、基課題の強化としてアリゾナ大学との連携で「次世代の赤外レーザー・ファイバ分光技術の開発」を進め、基課題の発展研究として、パデュー大学との連携による未開拓領域「テラヘルツ波(THz)分光による生体高分子の識別・定量」の探索を進める。 このうち本年度は、特にパデュー大学に拠点を置き、THz分光の研究に重点をおいて共同研究を進めた。その結果、炭酸塩鉱物の結晶多形の識別・定量法を開発し、THz分光装置の製作元である浜松ホトニクスと共同特許を出願するに至った。現在、パデュー大Yang教授と本成果について論文を執筆中である。さらに生体高分子のうち、通常の二重らせんDNAではない特殊な構造を持つDNAについて、興味深いデータが得られ始めており、次年度へ向けての重要な基礎データを得ることができた。 アリゾナ大学との連携による中赤外分光については、ACS Analytical Chemsitryに2編の論文を公表することができた。アリゾナ大学Dettman博士も研究代表者のデータをもとに、NSF(米国・National Science Foundation)を獲得することができ、次年度でのステップアップが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、アリゾナ大学/パデュー大学ともに連携が大いに進展し、中赤外分光研究ではACS Analytical Chemsitryに2編の論文を公表、テラヘルツ分光では特許を1件出願することができたとともに、次年度へ向けての重要な基礎データを多く取得することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
アリゾナ大学との中赤外分光研究については、今年度の成果をもとに、さらに高度な分析技術を必要とする「レアアイソトープの高感度検出」を進めていくことで、最先端の計測技術を開拓するとともに、国際共同研究を揺るぎないもにしていく。 パデュー大学とのテラヘルツ分光研究については、通常の二重らせんDNAではない特殊な構造を持つDNAについて、極めて興味深いデータが得られ始めており、徹底的に本計測技術を探ることで、生体高分子の新しい識別・定量法に関する成果を公表していく。
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