研究課題/領域番号 |
15KK0183
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
飯野 裕明 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (50432000)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2019
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キーワード | 液晶性有機半導体 / モノアルキル鎖 / バイレイヤー結晶構造 / モノレイヤー結晶構造 |
研究実績の概要 |
モノアルキル鎖を有する液晶性有機半導体フェニルベンゾチエノベンゾチオフェン誘導体(Ph-BTBT-10)はスピンコート法などの一般的な溶液プロセスで作製しても平坦性が高い多結晶薄膜が容易に作製できる。さらに液晶相経由で作製した薄膜は結晶格子内に1分子長で周期構造を取るモノレイヤー結晶構造を形成するのに対して、熱アニール後は最安定な結晶状態である結晶格子内にコア部が向かい合った2分子長で周期構造を取るバイレイヤー結晶構造を形成することで1桁近く移動度が高くなる。このモノアルキル鎖を有する液晶性有機半導体におけるバイレイヤー結晶構造を形成する多結晶薄膜の高移動度化の要因を探るべく、多結晶薄膜の内因的な電荷輸送特性を評価するために英国・ケンブリッジ大学のHenning Sirringhaus教授との共同研究を実施した。正確な電荷輸送特性を評価するために、ボトムゲートボトムコンタクト構造のトランジスタにおいてコンタクト特性を除いた移動度を測定するために4端子測定用の素子を、また、正確に電流値を測定するために有機半導体層のパターニングを行うプロセスを液晶性有機半導体に適用した。平成31年度は、この素子の低温測定やバイレイヤー結晶構造とモノレイヤー結晶構造におけるトランジスタ特性を英国および日本で評価することで、コア部が向かい合ったバイレイヤー結晶構造を形成することにより実現できる高移動度化の要因を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年5月から8月までの英国・ケンブリッジ大学での滞在し、素子の作製は完了した。しかしながら、当初ケンブリッジ大学で測定予定であった低温測定およびHall測定の装置の立ち上がりが不十分で平成31年2月の段階で測定ができておらず、1年間の共同研究の延長を行った。当該装置が起動次第、低温測定、およびモノレイヤー結晶構造とバイレイヤー結晶構造との違いを評価し、目標の達成を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
ケンブリッジ大学で測定予定であった低温測定およびHall測定の装置が立ち上がり次第、日本から作製した素子を送り、評価を行ってもらう。また、ケンブリッジ大学に追加で1か月ほど滞在し、未測定のサンプルの測定も本予算が許す限り行いたい。
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