研究課題/領域番号 |
15KK0188
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
山本 裕子 香川大学, 工学部, その他 (00598039)
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研究期間 (年度) |
2015 – 2017
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キーワード | 表面増強ラマン散乱 / 表面プラズモン / プラズモニック化学反応 / 銀ナノ粒子 / 4-アミノベンゼンチオール |
研究実績の概要 |
本年度の研究目標は、28年度4月にドイツ イエナ大学 Deckert研究室に渡航し国際共同研究の構築を遂行するために、国内での研究環境を整え、研究代表者の渡航準備を行うこととした。研究目標に従い、本年度はまず、香川大学内の研究協力グループ・会計係・庶務係との連携体制を構築し、国際共同研究構築のベース作りを行った。次に国内における研究代替要員として、事務パートおよびテクニカルスタッフ各一名ずつの選定および雇用契約の締結を行い、実務を遂行するためのトレーニングを行った。同時に、研究代表者自身の28年度4月からの渡航準備を行った。具体的には、滞在先の確保、長期滞在ビザ申請準備、香川大学内の各部門と調整・認識の共有を行い、適切な予算執行が可能な状態を構築した。 加えて、ドイツ イエナ大学 Deckert研究室のZhang博士と光反応性分子4-アミノベンゼンチオール(4-ABT)の一分子振動分光検出法に関する共同研究を行い、論文の執筆を行っている。同博士が計算機を用いて算出した4-ABTのラマンスペクトルと研究代表者が実測した4-ABTのラマンスペクトルを比較したところ、形が異なることが明らかとなった。この事実はこれまで報告されておらず、現在国際的に重要な議論となっている4-ABTの真の表面増強ラマン散乱(SERS)スペクトルの測定・解釈につながる重要な結果である。これに関する論文執筆を行っており、近々投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は、28年度4月にドイツ イエナ大学 Deckert研究室に渡航し国際共同研究の構築を遂行するために、国内での研究環境を整え、研究代表者の渡航準備を行うこととした。上記の通りすでに、香川大学内の研究協力グループ・会計係・庶務係との連携体制の構築、事務パート・テクニカルスタッフ各一名ずつの選定および雇用契約の締結・トレーニングの完了および研究代表者自身の渡航準備を終え、当報告書作成時点ですでにドイツへと渡航中である。また国際共同研究においてもドイツ イエナ大学 Deckert研究室 Zhang博士とすでに共同で論文執筆を行っている。そのため、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本国際共同研究の目的は、現在SERSを用いて遂行中の分子-プラズモン共鳴間に存在する強結合を元とした反応メカニズム実証研究をさらに発展させ、チップ増強ラマン散乱(TERS)法を用いて、プラズモニック化学反応場におけるプラズモン共鳴の役割を定量的に検証することにある。そこでまず、ドイツ イエナ大学 Deckert研究室にてTERS測定技術の習得を行う。次に本技術と今まで代表者が構築してきたSERS測定手法を組み合わせ、4-ABT単分子のTERS測定を実現しながら、国内の共同研究者である伊藤民武博士、およびテクニカルスタッフと連携を図り、銀ナノ粒子のプラズモンと4-ABT単分子間の強結合の存在の実証に挑戦する。
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