研究課題/領域番号 |
15KK0189
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
木田 徹也 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (70363421)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2018
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キーワード | ガスセンサ / ナノ結晶 / n型半導体 / p型半導体 |
研究実績の概要 |
酸化物半導体を用いた抵抗測定式ガスセンサは日本生まれの重要技術であり、ガス漏れ検知や空気環境のモニタリング等に幅広く利用されている。さらに現在では、微量の環境や人体に悪影響を与えるガスにも検知対象が広がり、住環境保全や製造技術になくてはならないものとなっている。しかし、本センサの大問題は、その消費電力の高さである。酸化物表面の吸着酸素とガスとの反応を利用する本デバイスでは、この気固界面での反応促進のため、300℃程度の加熱が不可欠である。そのため従来型のセンサでは素子の小型化が難しい。センサの小型化・省電力化により幅広い応用を可能にするために、センサの低温作動化が強く求められている。 センサの低温作動化のために種々の第二成分の添加がこれまでに検討されている。例えばセンサ材料にPdを添加した場合には感度の向上と作動温度の低減が可能になることが知られている。そこで本年度は、Cu2Oナノ結晶へのPd担持を試みた。Pd担持によりガス感度が大きく向上することを確認した。これにより、ZnOとの接合による更なる増感が期待できる。また、増感剤としてIrO2にも着目した。そこでIrO2をAl2O3と複合化させたナノコンポジットの触媒活性を詳細に調べた結果、ナノサイズのIrO2は良好な酸化活性を有することを見出した。 ガスセンサの感度向上化の手法として、pn接合の利用が有効であることが知られている。そこで新しいn型材料の探索も行った。本年度は半導体ナノシートとして注目されているMoS2に着目した。これまではMoS2粉末の層剥離によるナノシート合成が検討されているが、新しい手法としてMo前駆体の硫化によりナノシート合成を試みた。得られたMoS2ナノシートは揮発性有機化合物(VOC)に良好な感度を有することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標とした半導体ナノ結晶の合成と新しいセンサ材料の開発、さらにそれらの可燃性ガスに対する高感度化に成功しており、当初の予定どおり研究が順調に進行している
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今後の研究の推進方策 |
作製したデバイスの可燃性ガスに対する応答を詳細に検討する。さらに、国際共同研究先の研究機関において、in-situで半導体ナノ結晶とガスの反応状況をDiffuse Reflectance Infrared Fourier transform spectroscopy (DRIFTS)を用いて調査する。
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