研究成果の概要 |
磁気インピーダンス効果を利用した薄膜磁界センサの小型化を検討し, 1ミリ長の素子で300%のインピーダンス変化率を実現した。この値は薄膜で実現した場合にこれまで報告例のない高い値である。また, 30ミクロンに小型化した素子において20%以上の変化率が実現できた。この寸法で大きな変化率を実現できたことで高感度・高空間分解能を有する磁界センサの実現可能性を明らかにしたことに意味がある。一方, 高感度な小型磁界センサを組み込んだスキャニング型の電磁非破壊評価システムを開発し, 30ミクロン程度の鋼材の欠陥を検出可能にするとともに, 非磁性体が劣化により局所的に一部強磁性化する事例にも対応可能にした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
社会基盤構造物の高経年化が進展しており, その健全性評価が重要であるとともに, 構造物を構成する上で不可欠な鋼材を提供する鉄鋼会社においては, その信頼性評価が必要で, いずれの場合も非破壊評価が重要な役割を果たす。鋼材は磁性を示すことから電磁的な評価が適用可能でその技術の高度化が期待されている。高度化のひとつとして検査領域の局所化への対応がある, 本研究成果は高感度を維持しつつセンサ素子の小型化を実現したもので, 検査領域の局所化へ対応するものである。同時にシステム構成を実演したものであり, 人々の安心, 安全な暮らしの実現へ貢献するものである。
|