本研究では,日本とフランスの国際共同研究にて,車いすや歩行器といった福祉システムをより効果的に社会に組み込むために必要となる機能を検討し,高齢者や障がい者の意欲的な社会参加を促すシステムの研究開発はもちろん,家族,医療・福祉関係者,行政などが協力して高齢者や障がい者を見守ることができる新しい社会システム構築の足掛かりとなる技術を研究開発する. 本年度は,特に障がい者ダンサー支援を目的とした芸術と技術の融合研究が始まり,当初の最大の目的である高齢者や障がい者の社会参加を促す一つの形を示すことができる取り組みを行うことができた.本年度は,当学研究室学生がパリサクレ―大学に約1年滞在し,共同研究を推進した.また定期的に申請者もパリサクレー大学に滞在し,より効果的に議論を進めることができた.共同研究による成果の一つとして,障がい者の静的な動作(体重の支持等)をサポートすることができるウェアラブルなスカート形状を持つ体重支持システムを開発した.また,動的な動作を支援するために,体重移動で移動ができる一輪車システムを改造し,車いす型ダンス支援システムを開発した.実際に障がい者ダンサーによる動作テストを行い,今後の発展への道筋をつけた.研究終盤にパリサクレー大学および東北大学にて,研究ワークショップを開催する予定であったが,新型コロナウィルスの影響で開催を断念することとなった.しかし,科学研究費補助金によるプロジェクト終了後も継続して,共同研究を行うこと,教員と学生の交流を続けることとした.
|