研究課題/領域番号 |
15KK0198
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤原 航三 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (70332517)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2018
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キーワード | 融液成長 |
研究実績の概要 |
本共同研究は、Si多結晶の融液成長に関して2つの目的を設定している。 1)東北大学金属材料研究所において固液界面の観察実験を行い固液界面現象を明らかにし、さらに、IKZ(ドイツ)において実験結果に基づいた計算機シミュレーションを実施し融液成長の諸現象を基礎的に解明することを第一の目的としている。 2)太陽電池用Si多結晶インゴットの成長技術開発を行い、従来のSi多結晶インゴットよりも高品質なインゴットを実現することを第二の目的としている。 これらの目的に対して、平成29年度は、Si多結晶の融液成長過程において固液界面の粒界部から双晶界面が形成するメカニズムについて明らかにした。また、固液界面における、粒界同士の反応、亜粒界と双晶界面の反応、亜粒界同士の反応に関する直接観察実験を開始し、従来知られていない固液界面現象の観察に成功した。特に、固液界面における小角粒界と双晶粒界の反応においては、小角粒界が双晶粒界を貫通するという太陽電池用Si多結晶の成長においても重要な知見が得られた。粒界同士の反応についてIKZのMiller博士と情報交換を行い、本現象のメカニズム解明に向けた共同研究を行っている。また、高品質Si多結晶インゴットの成長に関しては、ルツボとSi融液の反応が起こらないような成長条件の取得へ向けた研究を継続中である。 平成29年度は、X線イメージング法によりSiの固液界面の観察実験を行っているマルセイユ大学のNathalie Mangelick-Noel博士の研究室を訪問し情報交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Si多結晶の融液成長メカニズムの基礎研究に関しては、固液界面における双晶界面の形成メカニズムに関して明らかとなった。また、固液界面における現象においては、小角粒界がΣ3双晶界面を貫通していくという従来知られていなかった現象が明らかとなり、このメカニズムに関して現在研究を進めている。さらに、融液成長過程における粒界の発展メカニズムに関しても実験データが揃ってきており、このメカニズムの解明も進めている。このように、Si多結晶の融液成長メカニズムに関して新しい現象が次々と明らかになってきており、研究は順調に進行している。ただし、IKZにおけるコンピュータシミュレーションに関しては、現象が複雑であるためシミュレーションのプログラムを構築するために若干時間が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、東北大学において固液界面現象の直接観察実験を行い、IKZにおいて理論解析を進める。昨年度より博士学生もこのプログラムに参加しており、本年度は博士学生とともにIKZを訪問し議論を深める。
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