サンディエゴ州立大学での長期滞在(2017年7月から2018年3月)を実施し、水同位体モデルを用いた水循環研究を推進させた。具体的な研究成果は以下の通り。1.まず、短寿命気候汚染物質(SLCP)による陸域水循環への影響を検討した。その結果、黒色炭素粒子排出を制限することで全球での水資源のストレスが緩和する可能性があるが、排出を抑制しても推進しても洪水暴露人口は増大することを示した。2.さらに、観測で見られる月単位の降水同位体比と層状性・対流性降雨の割合との相関について、モデルでは見えないためにモデルの水循環性能の悪さによるものと言われていたが、水蒸気輸送過程を再現(拘束)したうえで、現実に観察された層状性対流性降水の割合で再整理すると、観測と似た関係性が出てくることがわかった。
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