既存無線システム(Primary System:PS)に割り当てられた周波数を新規無線システム(Secondary System :SS)がダイナミックに共用するダイナミックスペクトラムアクセス(DSA:Dynamic Spectrum Access)の高信頼化と高効率化が求められている。SSがPSの周波数利用に関する統計情報を事前に入手し、利用することで上記は実現可能である。本研究課題では、採択科研費で掲げてきた協調型周波数観測システムの要素技術の開発とプロトタイプシステムの開発だけでなく、オウル大学(フィンランド)との共同研究により、実環境に展開されたDSA型テストネットワークにおいて協調型周波数観測プロトタイプシステム及び開発要素技術を評価・検証することでさらに研究を発展させることを目指す。具体的には、「協調型観測システムの実環境無線テストネットワークにおける評価・検証」、「評価・検証に基づく協調型観測システム、LSAの高度化」である。今年度は、特に「③:推定統計情報がDSAへ与えるゲインの解析」に着目し、観測により得られた統計情報である周波数利用率の変動を用いることで、空き周波数発見技術であるスペクトラムセンシングをより高精度化できることと、所望の検出精度を達成するためのセンシングにおける閾値設定法を明らかにした。さらに、推定統計情報は誤差を含むことから、その誤差がセンシングに与える影響も明らかにした。 周波数利用の事前情報として、帯域、占有時間の情報から周波数利用観測信号処理を適切に設定し、観測精度をさらに高められることも明らかにした。この成果は、開発した協調型周波数利用観測に反映し、その妥当性を明らかにした。
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