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本研究は遡上域から沖浜帯までを研究対象領域とし，現地観測結果，ならびに室内実験に基づいた，前浜に形成されるバームからバー沖側端までの底質移動の動態解明，および鉛直混合メカニズムの解明を目的とした研究を実施した．
渡米中には，H29年度までに波崎海岸において実施した計4回の蛍光砂とコアサンプリングを用いた底質の鉛直・岸沖動態把握に関する現地観測のデータ解析を行ったと共に，アウターバーの有無が底質の岸沖移動動態に与える影響に関しては，現地観測データに加え，数値モデル（XBeach）による検討を行った．一方，オレゴン州立大学所有の大型水路を用いたDune侵食時における底質移動動態の解明では，他研究者らのプロジェクトの遅れ，先方の研究予算の問題等から開始時期が1年延期となったため，本基金の期間を延長した．H31年度（R1年度）に短期間渡米し，共同実験を行った．実験ではアメリカ，韓国などの研究者も集まり実施され，研究テーマごとに体制が組まれ，蛍光砂を用いた移動動態解析においては，Prof. Daniel Cox氏とデータを共有し，解析を継続している．
茨城県波崎海岸において実施された現地観測データ解析では，底質動態場に影響を与える沿岸流速に関した解析を行い，沿岸流速推定モデルの開発を行った．さらに，沿岸流速値の超過確率と潮汐との関連性に関するテーマについて検討を実施すると共に，戻り流れの解析についても実施し，論文発表を行った．また，波崎海岸の現地観測，長期観測データを用い，数値モデルXBeachにおいて使用されるパラメータの変動特性について検討した．現地地形データから算出される地形形状パラメータとモデルにてチューニングが必要となるパラメータの関係性について検討を継続している．また，数値モデルより算出される戻り流れの精度検証ならびにモデル改良も実施した．
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