光の波長と同程度の周期の周期構造を三次元方向にもつ構造体は、3D フォトニック結晶と呼ばれ、光の局在化や特定波長の光の完全反射などの特異的な光学現象を示す新しい光材料として注目されている。しかし、これまでに作製された3Dフォトニック結晶のほとんどが多結晶またはアモルファスの物質で形成されているため、欠陥密度が高く、光学特性や電気特性が著しく低い。フォトニック結晶を利用した高機能デバイスを実現するためには、フォトニック結晶を構成する物質自体の結晶性を向上させ、フォトニック結晶本来の特性を最大限に発揮させることが必要不可欠である。そこで本研究では、半導体単結晶からなる3Dフォトニック結晶の作製技術の開発を行なった。 フローリアクターを用いた水溶液プロセスによって、三次元構造のテンプレート内に、ZnO をエピタキシャル成長させることに成功した。フローリアクターを用いて結晶成長条件を精密に制御することにより、選択的三次元エピタキシャル成長が可能な条件を明確化した。テンプレートを選択的に除去し、単結晶 3D フォトニック結晶を得た。得られた ZnO 単結晶フォトニック結晶のフォトルミネッセンス測定を行い、単結晶フォトニック結晶が、多結晶体よりも高い発光特性を示すことを明らかにした。また、ホール効果測定を行い、単結晶フォトニック結晶が優れた電気特性を示すことを確認した。また、本研究で得られた単結晶フォトニック結晶中の電子移動度が、理論値と同等の高い値を示すことを明らかにした。
|