研究課題
申請計画に準じ、カナダ・モントリオール理工科大学のMohamad Sawan教授の研究室においてVisiting Professorとしての共同研究滞在を実施した(継続中)。共同研究における主要な実施項目・成果は以下となる。① 本申請は、基課題となる生体内血糖値(グルコース)センサをバッテリレスでワイヤレス駆動するための超小型回路・システムを実現するものである。申請時点では高周波による電力伝送を第一選択としていたが、Sawan教授グループとの検討により、2mm以下のサイズで十分な電力供給を実現する手法として、光エナジーハーベスティングが最適であると選択した。② モントリオール理工科大学のLSI設計システムを利用して、光エナジーハーベスティングによるワイヤレス電力受信回路を設計した。③ 実現した回路はバッテリは不要で動作可能であり、また直列フォトダイオードを用いることで昇圧不要、低消費電流バイアスを得ている点である。これらにより高いエネルギー利用効率を実現している。④ さらに動作時の電流を制御することにより非常に弱い光でも動作可能である。⑤ 当該回路を複数組み合わせることにより、シーケンス動作などの高度なデバイス駆動が可能であることを実験的に確認した。これらの技術的な成果のほか、Sawan教授の紹介により、Univ. Lavalやトロント大学の関連研究グループの訪問と共同研究の開始、カナダにおける主要な電気系学会講演会への参加、学会プログラム委員への就任などの交流成果があった。
2: おおむね順調に進展している
当初計画に沿った渡航を実現し、すぐれた研究環境における海外での研究を実施できた。申請者が単独では実現できなかった回路を共同研究で開発することができた。2016年度の研究成果と構築した協力体制により、残りの研究実施期間を通して当初予定の研究を進めていくことができる。渡航先のMohamad Sawan教授グループとの関係だけでなく、カナダの関連研究グループとの交流・共同研究開始の成果もあった。
2016年度末の時点で渡航を継続しており、2017年5月の末をもって本事業による主たる渡航は完了する。本課題に関する共同研究はその後も継続し、適宜モントリオール理工科大学を短期訪問する予定である。また基課題に関連するテーマ以外にも複数のテーマでの共同研究を開始しており、それらについてはテーマごとの競争的研究資金等により展開していく。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (1件)
IEEE Design & Test
巻: 33 ページ: 37-48
10.1109/MDAT.2016.2560137
応用物理
巻: 65 ページ: 889-894