研究実績の概要 |
本研究では,平成29~30年度にバンドンのインドネシア人間居住研究所に長期滞在し(合計14ヶ月),現地の実験施設を用いた実証実験を行い,インドネシアの中間層向け民間集合住宅を対象とした省エネルギー基準を共同で開発し,その基準を既存の集合住宅設計ガイドラインに盛り込むことを目的とする。平成28年度は,渡航先機関を短期訪問するなどして来年度以降の共同研究の準備を行った。具体的な成果は下記のとおり。 ・基課題の基盤研究(C)の総括として,中間層向け集合住宅の総合的なパッシブクーリング手法を試案した。ここでは,寝室における部分冷房を基本とし,昼間と夜間で建物外皮の仕様を変える提案とした。建物中心にヴォイドを設け,特に昼間は風通しを重視したすまいとした。また,日射遮蔽を徹底するため,ベランダを配し,そこにガラリ窓を設けた。エアコンを使用する寝室では,出来るだけ気積を小さくし,高気密・高断熱化を図り冷房効率を高めた。 ・平成29年3~4月にインドネシア人間居住研究所を訪問し,上記の試案を基に共同研究の打ち合わせを行った。ここでは,同研究所の研究員8名のほか,インドネシア主要大学に所属する共同研究者9名など合計20名が集まった。本研究を大きく6つの分科会に分け,それぞれの構成員を決めた。また,省エネ基準化までのロードマップを定めた。 ・分科会は,(1) Fundamental site analysis, (2) Occupant's behavior, (3) Thermal comfort, (4) Health: Indoor air quality, (5) Safety, (6) Design and constructionの6つのグループで構成される。 ・実験施設(4階建ての集合住宅型の実験住宅)の建設予定地をスマランに定めた。上記のインドネシア滞在時に建設予定地を視察し,周辺状況を確認した。
|