本研究はフロリダ大学工学部(医学部)との共同研究により人工肩関節の関節反力を求めることを目的として、装置の開発、そして計測を二つの目的として研究を行ってきた。人工肩関節の一つである、Reverse Total Shoulder Arthroplasty(RTSA)を用いて力計測装置の開発を、在米医療機器会社の協力も得ながら行ってきた。このRTSAは日米においても歴史の浅い人工関節であるため、医師から関節反力に関する情報が求められている人工関節の一つである。経験や報告が少ないため、適切な数値が分からないからである。 2018年度は、1度フロリダ大学を訪問し、センサの最終デザインを決定した。体内においても通信に支障がないワイヤレス通信を実現し、測定精度も望むレベルを達成できた。ソフト側の開発として、ナビゲーションプログラムに組み込む作業は先送りとしたが、医師にも使いやすいインターフェスを有するソフトとなった。 実際の手術中に用いることはまだ行っていないが、死体と実際の手術器具を用いて整形外科医がRTSA手術のシミュレーションを行い、その中で試用した。同時に、死体ではあるがデータを取得することを行った。その結果、ある程度の測定レンジが分かり、事前に予想していた数値の範囲内であることを確認することができた。しかしこれはあくまで死体(freshではない)であるため、実際の手術中の数値と同じであるとは言えない。 現在、これまで設計してきたセンサの医療使用に関する打ち合わせを行い、その認可申請を行っている。
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