研究課題/領域番号 |
15KK0215
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
柴田 憲治 東北工業大学, 工学部, 准教授 (00436578)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2018
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キーワード | 量子ドット / テラヘルツ / トランジスタ |
研究実績の概要 |
本研究では、自己組織化量子ドットを活性層とする単一電子トランジスタ素子に基礎を置き、これをテラヘルツ電磁波と相互作用させることで、単一の電子・スピン状態の動的制御に基づく情報機能を実現する研究を推進している。本国際共同研究においては、これまで以上に高度な研究が必要となる研究に関して、新たな国際共同研究体制を構築し、「テラヘルツ電磁波による単一電荷・スピンの動的制御に基づく情報機能の創製」における確固たる優位性を確立することを目的として研究を推進している。 平成28年度はテラヘルツ電磁波によるキャリアダイナミクスの制御に必要となる単一自己組織化量子ドットを活性層とする単一電子トランジスタ素子を作製し、基本的な伝導特性の評価を行った。特に、従来の自己組織化InAs量子ドットに加えて、新たに単一の自己組織化InSb量子ドットを活性層とする単一電子トランジスタ素子を作製し、その伝導特性を評価した。伝導特性からは、InSb量子ドットがテラヘルツ帯のエネルギーに相当する非常に大きな軌道量子化エネルギーと、極めて大きな電子のg因子を有することが分かった。これらの伝導特性評価により本国際共同研究の遂行に適した素子を抽出した上で、これらの素子を平成29年度にスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)に持参し、高度な測定装置を用いた極低温・テラヘルツ波照射下における伝導測定を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、スイス連邦工科大学に持参する単一量子ドットトランジスタ素子を多数作製することを目標としたが、それができたことから、総合的に判断すると本研究は「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、平成29年4月20日からスイス連邦工科大学(ETH Zurich)における実験を開始する予定である。約1年間現地に滞在して、作製した素子をETH Zurichの高度な物性評価システムを用いて極低温環境、高周波電界下での特性評価を行う。これらの研究を通して、単一電子・スピン状態の観測と制御に関する知見を蓄え、高機能光電子デバイスへの応用へと展開したい。
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