本研究の初年度となる平成28年度は6月から9月まで韓国仁川大学校にVisiting Professorとして滞在し、現地の研究者と国際共同研究を実施した。本研究は現地にて当初の予定通り、基課題である基盤研究(B)「ナノ技術および生物科学の積極導入による新しい多重機能型構造システムの研究開発」、および挑戦的萌芽研究「自然界における周期性の自発的パターン形成機構解明と社会システム設計への合理的応用」を国際共同研究体制の中でさらに強力に推し進めるべく実施されるもので、具体的には生物形態模倣技術に関わる構造力学的研究をはじめとする理論的な内容の複数テーマに取り組んだ。この中で構造安定論に関する成果の一部を先方の研究者との国際共著論文として一編執筆、Journal of mechanics誌に投稿し、すでに掲載されている。また現地で関連分野の国際学会にも参加し研究発表を行うとともに、基課題のもうひとつの柱であるナノ技術に関わる国際共同研究についても、現地国の別の研究者と議論することができた。この研究者とは9月の最終帰国後にも再度訪韓し将来的な協働体制について打ち合わせを実施するとともに、当地で招待講演を行うなど、本研究により強固な国際ネットワークの構築を行うことができた。 さらに帰国後も継続して本研究を進めており、生物形態にみられる構造物の周期性に関する新しい研究知見を得ている。この研究成果を国際論文として投稿予定である。また第2年度である平成29年度に実施する英国ケンブリッジ大学での国際共同研究に向け準備を進めている。
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