研究課題/領域番号 |
15KK0221
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
鷺坂 将伸 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (60374815)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2018
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キーワード | 会合体 / 二酸化炭素 / 原油増進回収 / 粘度 / 複合体 / ポリマー |
研究実績の概要 |
4月14日から26日の期間に米国ピッツバーグ大学に滞在し、これまでに開発した超臨界CO2系棒状会合体についてProf Enickの高圧粘度系を利用させていただき、その会合体によるCO2増粘効果を検討した。その結果、棒状会合体の形成による有意なCO2粘度増大が確認された。また、5月1日から26日、11月29日から12月10日の期間に英国に渡航し、ブリストル大学Prof Eastoeとスォンジー大学Dr Alexander、そしてラザフォードアップルトン研究所(RAL)Dr Rogersと、今後の共同研究の打ち合わせとRALが所有する高圧小角中性子散乱(HP-SANS)装置による上記会合体のナノ構造評価を実施した。この評価結果により、棒状会合体にポリマーを可溶化させることで棒の伸張が起こり、増粘効果がさらに高まることが示唆された。また、同期間内に上記共同研究の成果を、2つの国際学会(EMN meeting on nanoparticles 2017, EMN meeting on Surface and Interface 2017)にて発表した。8月7日~12日の期間に、マレーシアに渡航し、当該研究の協力者のスルタンイドリス教育大学Dr Mohamed、マレーシア国際大学Dr Razimとこれまでの研究成果について意見交換を行い、同期間内にクアラルンプールで開催された国際学会(ACCIS2017)にて研究成果発表も行った。さらに、3倍のCO2の粘度増大を引き起こす棒状会合体を発見し、その成果をColloids and Surfaces Bの特別号にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終目標の10倍のCO2粘度増大にはまだ達していないが、現在までに3倍のCO2の粘度増大を達成する棒状会合体を得ており、今後、ポリマーやCO2foamと組み合わせることで、10倍の粘度増大を達成させることができると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
テキサス大学Prof Johnstonと本研究課題について共同研究を予定していたが、現在、申請者とProf. Johnstonは、各々の国の企業と原油増進回収技術の開発について共同研究契約を締結しており、研究成果の守秘義務の点から、申請者が長期にProf Johnstonの研究室に滞在して研究を行うことは、互いに不都合が生じる。そのため、Prof Johnstonとの共同研究は取りやめ、本研究の進捗を遅らせないために、新たな渡航先外国機関としてニース大学を選び、Prof Guittardのもとで棒状会合体を伸長させるCO2溶解性ポリマーの開発を行い、これまで開発した棒状会合体と組み合わせ、さらなるCO2の粘度増大を引き起こすシステムを構築する。また、29年度と同様に米国ピッツバーグ大学と英国RALに数週間滞在し、Prof Enick, Prof Eastoe, Dr Rogersの協力のもと開発された棒状会合体の高圧粘度測定によるCO2増粘効果およびSANS測定による会合体ナノ構造の評価を行う。
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