研究課題/領域番号 |
15KK0222
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長尾 大輔 東北大学, 工学研究科, 教授 (50374963)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2019
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キーワード | ナノ材料 / 中空粒子 / 集積 / 可動 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、Yolk/Shell粒子に閉じ込めたコアの運動をオランダ国・ユトレヒト大学保有のLiquid Cell TEMを使って評価したところ、昨年度観察に成功したサブミクロンサイズの球状酸化物粒子のみならず、粒径50nm以下の金属ナノ粒子の動きも追跡でき、水中での金属ナノ粒子の動的挙動を解析できることが明らかになった。具体的には、粒径30 nm程度の単一金ナノ粒子を内包したYolk/Shell粒子と、複数の金ナノ粒子を内包したYolk/Shell粒子をそれぞれ調製し、両者の動的挙動を直接観察した。その結果、Yolk/Shell粒子内の金ナノ粒子は互いに会合した状態で存在しており、観察期間中、会合状態が維持されることを明らかにした。水中に分散する金ナノ粒子に1 kHz程度の交流電場を印加すると、金ナノ粒子が交流電場に応答することが知られる。その特性とLiquid Cell TEMによる会合金ナノ粒子の観察結果を合わせて考えると、複数の金ナノ粒子を内包したYolk/Shell粒子に対して外部電場を印加すると、内包金ナノ粒子の会合体の動きや配置を外部から制御できる可能性を示唆できる。 集積させた粒子を固定化する手法については、ドイツ国・アーヘン工科大学との共同研究により、β-シクロデキストリンを利用するナノ粒子の固定化手法を検討した。その結果、アミノプロピル基を表面に導入したナノ粒子と、トシル基を有するβ-シクロデキストリンを反応させれば、ナノ粒子表面にβ-シクロデキストリンを導入することが可能あり、さらにはナノ粒子表面に導入したβ-シクロデキストリに生じる水素結合やホスト-ゲスト相互作用を利用すれば、特定の高分子にナノ粒子を固定化できるという知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分散状態にあるYolk/Shell粒子内のナノ粒子の挙動を液中において直接観察するとともに、ナノ粒子表面で選択的に生じる反応を利用すれば、集積させたナノ粒子を固定化できるという見通しが得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
学内外の業務多忙のため、H30年度は当初予定していた期間、海外に滞在できなかった。補助事業の延長により得られた期間(H31年度)は、短期渡航でも十分な成果が得られるように海外研究機関と引き続き密に連絡をとりながら、内包ナノ粒子の動きを外部から制御するだけでなく、Yolk/Shell粒子内に閉じ込めたナノ粒子の配置や動きに基づいたシグナルを外部に取り出すための検討を進める。
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