国連宇宙局およびドイツ航空宇宙センターとの共同研究として,津波災害対応の高度化のためのシミュレーションとリモートセンシングの統合技術の実証と国際展開に向けた研究を実施した.
津波の広域被害把握のためのリモートセンシングの活用について,浸水域・遡上特性の把握,建物被害の抽出,瓦礫の把握,被災者の探索という課題に着目して,研究の現状と展望を整理し,レビュー論文としてまとめることができた.多様なプラットフォームの利用,センサ性能と分解能の向上,情報通信技術の発展,機械学習・深層学習による画像認識のAI化により,今後の飛躍的な発展が期待できることがわかった.特に,深層学習を活用した衛星画像解析による広域被害把握手法を東日本大震災の被害データを用いた実証することができた.
リモートセンシングによる被害把握技術の国際展開については,2015年国連防災世界会議において発足したGlobal Partnership on Space Technology Applications for Disaster Risk Reduction(GP-STAR)への参画と標準技術の提案,2017年11月と2019年11月のWorld Bosai Forumで「地球観測技術の災害対策・災害対応への連携的な活用」,「災害リスクマネジメントのためのリモートセンシング技術の革新」をテーマとした特別セッションを主催し,地球観測(リモートセンシング)や宇宙技術を基盤とした技術を防災の取組に導入することで,いかに仙台防災枠組の目標達成の評価に寄与するかについて,参考となる事例を交えた報告を通じて,協議することができた.
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