研究課題
スウェーデン ウプサラ大学ならびにドイツ ドレスデン工科大学カールグスタフカールス大学病院との国際共同研究では、糖尿病治療のための膵ランゲルハンス島(膵島)移植、ならびに末期腎不全治療のための腎臓移植における生着率の向上を目指している。両親媒性高分子であるポリエチレングリコール結合脂質(PEG脂質)の誘導体による細胞表面の修飾技術を利用して、免疫反応をコントロールして虚血再韓流障害からの臓器の保護を行う。最終的には、免疫抑制剤を使用しない移植療法を目的としている。ドナーから取り出したブタ腎臓の静脈から注入されたPEG脂質は、腎臓内のほぼ全ての血管内皮細胞の表面に導入されており、一様に血管内皮がコーティングできていることが分かった。長期試験と短期試験を行い、詳細に解析した。移植後のレシピエントからの血液サンプリングを行い、補体系や凝固系のパラメーター、サイトカインを分析したところ、補体系や凝固系のパラメーターが、コントロール群(無処理)と比較して、低い値を示してしたことが分かった。また、サイトカインもすべてではないが、主要なマーカーでは、低い値を示していることが分かった。レシピエントから移植した腎臓の一部を切り出して、切片を作成し、免疫染色を行ったところ、すべての項目ではないが、コントロール群(無処理)と比較すると、コーティングしているレシピエントでは、補体系マーカーの沈着が少ない傾向にあることが分かった。
2: おおむね順調に進展している
ブタの腎臓移植の実験も順調に行うことができ、これまでの進捗はおおむね予定通りである。
2017年度も引き続き、膵島移植ならびに腎臓移植共同研究を進める。当初の予定では、ドイツ ドレスデン工科大学カールグスタフカールス大学病院へ滞在し、膵島移植実験を進める予定だったが、ウプサラ大学で同じ実験を立ち上げることができたため、実験計画を変更して、すべての実験をウプサラ大学で行うように変更する。昨年度では、高分子のPEG脂質によるコーティングを検討してきたが、2017年度では、生理活性物質をPEG脂質を介して固定化し、より効果的に虚血再灌流障害の抑制を目指す。具体的には、CD39やその同等の機能を有するアピラーゼを予定している。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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