研究課題
腎臓を患者へ移植した直後では、凝固反応や自然免疫が活性されるため、血管内皮細胞が傷害を受けることが知られている。これら一連の自然免疫系の活性化反応は、虚血再灌流傷害の原因の一つとして位置付けられている。本プロジェクトでは、腎臓内の血管内皮細胞の表面を、PEG脂質や様々な生理活性物質でコーティングすることで、虚血再灌流傷害の制御を行うことを目指したものである。このことにより、腎移植後の生着率が向上し、移植成績が大きく改善することが期待できるためである。ここでは国際共同研究を通して、大動物であるブタの腎移植モデルを用いて、in vivoならびにin vitro評価を行った。まず、放射ラベル化したPEG脂質を合成し、このPEG脂質を用いて、腎臓内へ注入してその分布を調べたところ、PEG脂質は腎臓内に一様にコーティングできていることが分かった。また、血管内皮のみならず実質組織内へのコーティングも見られることが分かった。また、PEG脂質で処理したブタ腎臓を移植した後のブタレシピエントから血液サンプリングを行い、自然免疫の活性化について調べたところ、補体系や凝固系のパラメーターが、コントロール群(無処理)のレシピエントと比較して、低い値を示してしたことが分かった。また、レシピエントの血中のサイトカインの値も低い値を示したことから、PEG脂質によるコーティングにより、凝固系や補体系の活性化が抑制されていることが示された。
2: おおむね順調に進展している
概ね順調に進行している
引き続き、国際共同研究を続ける。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件)
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