本国際共同研究は,現在実施中の基課題「超広帯域電磁波による超分解能誘電体内部イメージング法の研究」に関して,特に乳癌細胞検知を目的とした非侵襲医療診断イメージングに関する研究を,同分野で世界最高レベルの研究を実施しているグループと協働することで,本課題を格段に進展させることを目的とする. 当該研究機関において,申請者は共同研究先のHagness教授および同研究グループとともにマイクロ波医療画像診断応用において,超波長分解能・精度を実現する誘電体内部画像化法を確立するための検討を実施した.申請者が独自に考案した画像化法(RPM法)を不均質かつ分散性の強い,乳房媒質に適合させるため,FDTD法に基づく破面抽出法を提案し,背景媒質がある程度の精度で与えられていれば,差分信号を用いて高精度にがん細胞の形状を推定することができることを示した.またマイクロ波アブレーションによる治療のためのリアルタイムモニタリング法においては,申請者が簡易かつ適用条件が非常に幅広い信号処理法を見出し,リアルタイムでかつ誤差1mm程度でアブレーション領域を逐次モニタリングできる手法を提案した.具体的にはMRIベースで得られた精緻な数値計算ファントムを利用し,処理時間0.1sec でアブレーション領域を1mm程度の誤差で推定することが可能となった.同精度,処理時間は実用上において十分な性能であり,Hagness教授も同手法の優位性を高く評価しており,実験実証でその有効性を確認するなど,大きな成果を得た.
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