研究実績の概要 |
軟体動物のヘモシアニンは4MDaにもおよぶ超巨大な円筒状の蛋白質会合体である.基課題において申請者はスルメイカ由来ヘモシアニンの結晶構造解析を行い,その構造が外壁領域と5つの内部ドメインから構成されている事を明らかにした.スルメイカヘモシアニンはFU-a, -b, -c, -d, -d*, -e, -f, -gの8つの機能ドメインから形成され,外壁領域にはFU-a, -b, -c, -d, -e, -fが,内部ドメインにはFU-d*, -gが含まれていた.しかし,結晶中でヘモシアニンは外壁領域のみで相互作用していたため,内部の2つのFUは結晶のパッキングによる構造安定化の寄与を得る事が出来ず,その結果,これらのFUの電子密度は非常にプアーで,そのモデルを十分な精度で決定する事ができなかった.そこで本研究では,クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析により,スルメイカヘモシアニンの内部領域の構造を決定することを目指す. 今年度は,平成28年度以降の連携研究の内容等について,渡航先のドイツ マックスプランク研究所Stefan Raunser教授と詳細に議論し,2016年8月から2017年3月までマックスプランク研究所にて研究を実施することを決定した.研究の方針についても,先行研究にて培った手法を用いて北海道大学にて調製したスルメイカヘモシアニンを凍結状態で送付し,それをドイツで解析することを決定した.さらに,測定や解析の際の協力者を決定した他,具体的な測定方法,解析方法についても議論した.研究代表者が渡航している間の基課題の研究方針も決定した.
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