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2016 年度 実施状況報告書

分子量4MDaの巨大酸素運搬蛋白質ヘモシアニンの構造生物学研究(国際共同研究強化)

研究課題

研究課題/領域番号 15KK0248
研究機関北海道大学

研究代表者

田中 良和  北海道大学, 先端生命科学研究院, 准教授 (20374225)

研究期間 (年度) 2015 – 2018
キーワードヘモシアニン / クライオ電子顕微鏡 / 構造解析
研究実績の概要

イカなどの軟体動物は,ヘモシアニンという分子量約4MDa の巨大蛋白質会合体を用いて酸素を運搬している.興味深い事に,ヘモシアニンはその大きさを生かしてハプテンのキャリアー蛋白質や免疫賦活剤として医工学的に応用されている.
研究代表者は,スルメイカ由来ヘモシアニンの会合体の結晶構造を3.0オングストロームの分解能で決定し,ヘモシアニンが外壁領域と5つの内部領域から構成されていることを明らかにした.外壁領域では非常に明瞭な電子密度が観測されたが,内部領域の立体構造を正確に決定する事は困難であった.本課題では,近年,著しい発展を遂げ,X線結晶構造解析に劣らない解像度で構造解析が可能となったクライオ電子顕微鏡による単粒子解析の技術を用い,X線結晶構造解析では達成できなかったスルメイカ由来ヘモシアニンの内部領域の構造を決定し,ヘモシアニンの内部空間のデザイン学への足がかりとする.
研究代表者は,2016年7月から2017年3月まで,ドイツのマックスプランク研究所に滞在し,スルメイカヘモシアニンのクライオ電子顕微鏡解析を行った.はじめに,試料の調製方法を検討し,超遠心分離を用いた会合体の調製方を構築した.得られた試料を用いてクライオグリッドの作製条件を検討し,良質なグリッド作製の条件を決定した.最新のクライオ電子顕微鏡(FEI社製TITAN KRIOS)を用いて,約5000枚のイメージを取得し,プログラムSPHIREを用いてその構造を決定した.得られた構造は,X線結晶構造解析により得られたものとは異なる,対称性のない内部構造をしており,結晶中ではこれが10個の異なるオリエンテーションで積層したために,D5対称性の電子密度が見られたということがわかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り,8ヶ月間,派遣先研究室に滞在してクライオ電子顕微鏡を用いた解析を行い,その構造決定に成功した.予定通りにすべてが行われているため,概ね順調に進行していると結論した.

今後の研究の推進方策

今後は,得られた構造の精密化を行い,詳細な構造を精査する.得られる結果に基づき,ヘモシアニンのフォールディングについて解析し,論文発表する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Biochemical and structural characterization of oxygen-sensitive 2-thiouridine synthesis catalyzed by the iron-sulfur protein TtuA2017

    • 著者名/発表者名
      Minghao Chen, Shin-ichi Asai, Shun Narai, Shusuke Nambu, Naoki Omura, Yuriko Sakaguchi, Tsutomu Suzuki, Masao Ikeda-Saito, Kimitsuna Watanabe, Min Yao, Naoki Shigi and, Yoshikazu Tanaka
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Structural properties of phycoerythrin from dulse palmaria palmata2017

    • 著者名/発表者名
      Yoshikatsu Miyabe, Tomoe Furuta, Tomoyuki Takeda, Gaku Kanno, Takeshi Shimizu, Yoshikazu Tanaka, Zuoqi Gai, Hajime Yasui, Hideki Kishimura
    • 雑誌名

      J. Food Biochem

      巻: 41 ページ: e12301

    • DOI

      10.1111/jfbc.12301

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 巨大タンパク質会合体ヘモシアニンの多孔質性結晶を用いた生体分子の包摂2016

    • 著者名/発表者名
      Asuka Matsuno, Ye Yuxin, Yuki Ohnishi, Akira Kitamura, Masataka Kinjo, Satoshi Abe, Takafumi Ueno, Yoshikazu Tanaka, Min Yao
    • 学会等名
      第54回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      つくば国際会議場(茨城県,つくば市)
    • 年月日
      2016-11-25 – 2016-11-27
  • [学会発表] Pore formation mechanism of staphylococcal pore forming toxin2016

    • 著者名/発表者名
      Yoshikazu Tanaka
    • 学会等名
      Max Planck Institute of Molecular Physiology Department 3 Lab Retreat Seminar
    • 発表場所
      Ringberg,ドイツ
    • 年月日
      2016-10-09 – 2016-10-12
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] バクテリアにおける二機能性ユビキチン様タンパク質の機能調節の構造基盤2016

    • 著者名/発表者名
      陳明皓,奈良井峻,大村直毅,鴫直樹,田中良和,姚閔
    • 学会等名
      第16回日本蛋白質科学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県,福岡市)
    • 年月日
      2016-06-07 – 2016-06-09
  • [産業財産権] ヘモシアニン会合体を用いた包摂体の製造方法2016

    • 発明者名
      田中良和,松野明日香,北村朗,金城政孝,姚閔,上野隆史,安部聡
    • 権利者名
      国立大学法人北海道大学,国立大学法人東京工業大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2016-110309
    • 出願年月日
      2016-06-01

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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