マイトファジーは、選択的にミトコンドリアを分解するオートファジーであり、細胞内もミトコンドリア量やミトコンドリア品質の制御に関わっていると考えられている。我々は、酵母をモデル生物としてマイトファジーの研究を行い、マイトファジー因子Atg32の発見を含む種々の研究成果を挙げてきた。Atg32はミトコンドリア外膜タンパク質であり、そのリン酸化がマイトファジー誘導の引き金となることが判っているが、その制御機構には不明な点が多い。これまでに、我々を含め、国内外でマイトファジー関連遺伝子を同定するための網羅的解析が行われているが、未だに前述の点も含め解明されていないことが多いのは、既存の出芽酵母遺伝子破壊ライブラリーを用いた探索では、同定したい因子を発見するには不十分で有ることを示している。我々は、従来とは異なったマイトファジー因子のスクリーニング方法を確立し、その方法を新潟大学、ミシガン大学の両方で実施できる体制を整えた。その後、新潟大学及びミシガン大学の両大学においてスクリーニング実験を推し進め、マイトファジー誘導に影響を与える因子候補を選抜することができた。ミシガン大学の共同研究者と得られた候補因子に関する議論を繰り返し、これらの因子の中から、マイトファジーとして特に注目に値すると考えられる因子を2つ選出し今後の機能解析の対象とすることを決定した。これまでに、同定したマイトファジーに関連する2つの因子の機能解析を進めており、マイトファジーの分子機構がより詳細に明らかになりつつある。これらの成果は、論文として投稿する準備を進めている段階にある。 この国際共同研究により、ミシガン大学のKlionsky研究室と密接に共同研究が行える態勢が整い、これまでにKlionsky研究室から我々の研究室に1名を短期留学で受け入れており、新潟大学から学生を合計5名派遣している。
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