研究実績の概要 |
オーストラリア・マッコーリー大学では、受け入れ研究者のWright博士とともに構築した葉の光合成と細胞壁に関する世界規模のデータベースをもとに総説論文を執筆した。この総説では、長い寿命をもつ葉が、面積当たりでは栄養塩を多くもつにも関わらず、光合成速度が高くないことに対する合理的な説明を与えることができたと考えている。この総説は、Adams & Terashimaが監修する光合成の本(英語)のチャプターとして出版される。 アメリカ・ハワイ大学ヒロ校に研究拠点を置き、ハワイ島の多様な環境に適応放散しているハワイフトモモの形質調査を行った。ハワイ島全体を網羅するように多くの調査地を設置し、各地点でハワイフトモモ40個体の枝葉をサンプリングした。最終年度の調査では、新たに24箇所の調査地を設置し、総計52箇所の調査地を設定した。これにより、ハワイ島全体を網羅することができたと考えている。採取したサンプルは、葉の大きさ、含水率、トライコーム量、C,N濃度、同位体比、虫こぶ量など様々な形質測定に用いた。これらのデータをもとに、ハワイフトモモの機能形質の集団間・集団内多様性の評価を行った。研究結果について、Ostertag教授やStacy教授、Cordell博士らと議論を行った。本調査は学生を含めたチームで行っており、学生やポスドクの国際経験を上げることに寄与している。またハワイフトモモに関する生理機能に関する論文も発表し、学会でも多く発表している。 オランダ・ワーゲニンゲン大学に滞在し、Anten教授をはじめ、複数の研究者と植物の光獲得競争に関する議論を行った。また上記の渡航期間に含まれていないが、ワーゲニンゲン大学滞在ののち、スイス・チューリッヒ大学においても、同じテーマに関して、具体的な研究協議を行った。 今回のプロジェクトの目的は十分に達成され、事業は完了した。
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