研究課題
本研究の目的は、腸内細菌が霊長類の消化機能にどう影響しながら、生態学的時間スケールと、進化的時間スケールの両方で、霊長類と共進化してきたかを明らかにすることである。進化的時間スケールの研究では、多種の野生霊長類について、糞試料を収集し、腸内細菌叢を比較して、霊長類の食性や系統に応じて、腸内細菌叢がどのように変化するのかを明らかにする。基課題で収集してきた日本、マレーシア、ウガンダでの調査に加え、本研究ではガボンと中国で新たに試料の収集を行う。本年度は、昨年度収集したガボンの8種の野生霊長類の糞試料の遺伝子解析を進めるとともに、中国で糞試料の収集を行った。広東省、広西チワン族自治区、雲南省、陝西省、安徽省を訪れ、野生のアカゲザル、シロアタマラングール、ウンナンシシバナザル、キンシコウ、チベットモンキーの試料を収集した。これらの試料は、現在、共同研究者のZhang Peng教授が保管している。生態学的時間スケールの研究では、屋久島の上部域と海岸域のニホンザルの新鮮な糞試料を採取し、試験管内発酵実験を行うことで、食性の異なる2地域での消化能力の違いを明らかにしようとしている。昨年度、チューリッヒ大学でこれらの試料の遺伝子解析を行った。本年度は、それについて追加の実験を日本で行い、配列解析をチューリッヒ大学の共同研究者に依頼した。
2: おおむね順調に進展している
予定通り試料収集のための渡航を順調に終えることができた。
中国に再度渡航して、本年度収集した糞試料の遺伝子解析を行う。これまで、基課題も含めて、配列解析を行ってきた試料も合わせて解析する。屋久島の発酵実験について、結果を論文にまとめる。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
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