研究課題
研究代表者はこれまでに,脊髄に存在するガストリン放出ペプチド(GRP)系が雄優位な性的二型を示し,雄の性機能を脊髄レベルで制御することを報告してきた。本研究では,この新規に見出した性機能を司る回路システムと脳との機能的・器質的結びつきについて解析する。特に,脳が合成する下垂体後葉ホルモンのひとつ,オキシトシンの脊髄における作用に着目した解析を進める。その過程で中枢神経系において「ペプチド性シグナル分子の作用部位がシナプス構造に必ずしも限局する必要がない」,という興味深い現象を明らかにしつつある。そこで本研究では国際共同研究を広く展開し,シナプスを介さない従来とは全く異なる極めて独創的な概念:ニューロン-ニューロン間コミュニケーションにおいて,シナプスを介さず傍分泌的に作用するという革新的な生命原理 volume transmission機構を解明することを目的としている。英国オックスフォード大学John F. Morris教授が既に脳ニューロンおよび下垂体後葉において確立している「エキソサイトーシス誘発実験技法」を脊髄に応用することを試みる。これらの予備的な解析は国内で予め行い,渡航後の研究進展の効率化を図る。平成30年度は,研究代表者が約2ヶ月間オックスフォードへ滞在し,John F. Morris 教授のご指導の下,エキソサイトーシスの立体的な電顕解析に関する解析を行った。平成29年度のオックスフォード滞在中に研究会を通じて既知となった,同大Antony Galione 教授(分子薬理学)と共同し,神経内分泌機構の分子メカニズム解明に関する国際共同研究も新たに開始した。また,オックスフォードに滞在中,得られた成果を論文化すべく,Morris 教授と論旨の議論を重ねた。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 5件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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