研究課題
研究代表者は、鳥類の視床下部から新規の分泌性小タンパク質であるNPGLを発見している。これまでの国際共同研究の実施から、ラットやハムスターを用いて研究を進めてきた。その結果、ラットではNPGLが脂肪蓄積作用を有し、血中インスリン量に応答してNPGLのmRNA発現が変化し、NPGL産生細胞が実際にインスリン応答を示すことも見出している。さらに、マウスを用いてNPGLの生理機能と作用機序の解析を進めた。NPGLをマウスの脳室内に投与し、摂食量、体重増加量、脂肪蓄積量を解析した結果、普通食給餌下では摂食量に有意な変化は認められなかったが、高カロリー食給餌化では摂食量が増加し、脂肪蓄積の顕著な増加が認められた。この脂肪蓄積の原因のひとつとして、白色脂肪組織や肝臓での脂肪合成酵素の発現亢進であることが示唆された。加えて、摂食促進因子として知られている神経ペプチドの1つであるガラニンをNPGL産生細胞が産生することも見出した。本年度は、これらの結果を学術論文としてまとめ、内分泌学における権威ある国際誌であるJournal of Endocrinology誌に受理・掲載された。本年度は最終年度であることから、過去4年間の国際共同研究の実施の総括を行うために2020年3月にUC Berkeleyを再訪する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で渡米が不可能となった。4年間の国際共同研究の実施により、質の高い7報の国際学術論文に国際共著論文を掲載することができたことから、十分に成果が挙がったと考えている。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
J. Endocrinol.
巻: 244 ページ: 1-12
doi: 10.1530/JOE-19-0112.
Front. Endocrinol.
巻: 10 ページ: 392
doi: 10.3389/fendo.2019.00392.