原子レベルの蛋白質立体構造から円二色性(CD)スペクトルを算出できるCD理論を真空紫外(VUV)領域まで拡張することで高度化し,蛋白質の二次構造だけでなくアミノ酸側鎖構造(三次構造)に関する情報を取得する手法を構築した。この手法を,β2-microglobulinフラグメント(β2m21-31) のpHに依存したアミロイド線維の構造解析に応用した結果,pHによる線維の構造変化は二次構造レベルではなく,アミノ酸側鎖が関与する分子間構造の違いによるものであることが示唆された。VUV領域まで考慮したCD理論は,アミロイド線維のような蛋白質-蛋白質相互作用系の構造解析に有効であることが分かった。
|