研究課題
今年度は、葉緑体オートファジーに関わるレセプターの同定に向けて、共免疫沈降法とLC-MS/MSによるATG8との相互作用因子の解析を中心に行った。これまでの研究で、オートファゴソームやプラスチドを内容成分とするオートファゴソームであるRCBが細胞質に蓄積する新奇変異体を純遺伝学的に単離した。この単離した変異体にオートファゴソームのマーカータンパク質であるvenus (YFP variant)-ATG8を導入した。変異体の種子を無栄養培地に播種し暗所で3日間生育させた。得られたseedlingsをconfocal microscopyで観察した結果、オートファゴソーム及びRCBが細胞質に多量に蓄積しているのを確認した。またウエスタンブロッティングによりこの新奇変異体ではvenus-ATG8タンパク質が野生型に比べて多量に蓄積していることを確認した。Seedlingsから総タンパク質画分を調製し、抗GFP抗体(YFPとも交差性あり)結合磁気ビーズと反応させ、ATG8と相互作用する因子を共免疫沈降により回収した。回収されたタンパク質をSDS-PAGEにより分離後、タンパク質をゲル内でトリプシン消化した。生じたペプチドを回収し、LC-MS/MS解析に供した。その結果、サンプル内に、ネガティブコントロールには見られない190種類のタンパク質を同定することができた。そのうちスペクトラルカウント数の多い上位114種に注目し、ATG8-interacting motif (AIM)やintrinsically disordered protein region (IDPR)の検索を行い、候補因子の絞り込みを行った。
3: やや遅れている
MS解析で同定されたタンパク質のバイオインフォマティクスによる解析を行っているが、葉緑体オートファジーに特異的にかかわる因子については、十分に絞り込むまでには至っていない。
バイオインフォマティクスにより絞り込んだ候補因子について、酵母ツーハイブリッド法によりATG8との相互作用について確認を進める。また候補因子の遺伝子を欠損する変異体を単離し、オートファジーへの影響について解析する。なお当初計画から想定外の結果としては、ATG8と共免疫沈降するタンパク質の大多数が遺伝子発現に関わる因子であるということであった。この点については、共免疫沈降法の一部改良も含めて今後詳細な検証が必要であると思われる。
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Plant Cell Physiol.
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