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2018 年度 実施状況報告書

変態期ヒラメで左右非対称に発現する遺伝子群の単離と甲状腺ホルモン制御機構の解明(国際共同研究強化)

研究課題

研究課題/領域番号 15KK0272
研究機関東北大学

研究代表者

横井 勇人  東北大学, 農学研究科, 助教 (40569729)

研究期間 (年度) 2016 – 2019
キーワード異体類 / ヒラメ / 変態 / 左右非対称化 / トランスクリプトーム
研究実績の概要

ヒラメやカレイなど異体類は、左右対称な仔魚として発生した後、変態期に眼の移動と有眼側の色素胞分化により、左右非対称な成魚の体制へと移行する。ヒラメなど水産重要種では種苗生産が行われているが、人工飼育下では変態の異常が発生して問題となっている。本研究は変態の分子メカニズムを理解することにより、増養殖の高効率化を目指している。スペインでも水産増養殖が盛んに行われているが、異体類の養殖では体色異常や骨格異常が発生して問題となっている。
海外共同研究者のMatthias Carl博士はゼブラフィッシュの左右軸分化について顕著な成果を上げており、本共同研究ではヒラメの左右非対称化についてモデル生物を用いて解析することを計画していたが、ドイツ・ハイデルベルグ大学からイタリア・トレント大学に異動したため、一部の実験計画に乱れが生じた。Carl博士が開発した間脳の左右を判別可能なGFPゼブラフィッシュを使用して、発現解析を行う左右軸の撹乱サンプルを得ることができたが、実験魚飼養施設の整備が遅れていることから、サンプル数に問題が残った。バルセロナ大学のCristian Canestro博士は体制が単純な脊索動物オタマボヤの円柱を研究している。異体類の変態を制御する甲状腺ホルモンは、円柱の相同器官で生成されることから、単純な体制のオタマボヤで甲状腺ホルモンシグナリングについて、オタマボヤのゲノム情報を参考にしてオタマボヤが進化的に喪失/維持してきた甲状腺ホルモンシグナルネットワークについて解析した。また最近開発した遺伝子導入システムを見学することができた。Rotllant博士は大西洋イシビラメ(ターボット)をモデルとし、骨格と色素胞分化の研究を行っている。ゲノム情報を利用してヒラメの遺伝子のターボットオーソログを単離し、Rotllant博士の背腹軸/有眼側・無眼側RNAサンプルを使用してqPCRにより遺伝子発現を定量的に解析することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

国際共同研究者の一人、Carl博士はドイツ・ハイデルベルグ大学からイタリア・トレント大学に移動した。移動先で計画されていた実験魚の飼育施設の建設が予算都合により延期され、当初予定していた研究計画の一部を実行できなかった。一方で、Rotllant博士は本研究とは独立に変態期のエピゲノム解析を始めており、新たなデータは本研究の解析およびその考察にとても重要であることが予測されるため。

今後の研究の推進方策

ほとんどの実験計画は、予定通りに実施できているが、Carl博士の研究室で実施予定だったゼブラフィッシュ初期胚に関する実験は、左右軸に関する表現型を再現できる処理条件を日本で試行し、代替実験を検討している。Rotllant博士が実施しているエピゲノムに関する解析は、データを入手できたら、これまでに実施したRNA-seq解析の結果と合わせて、発生タイミングおよび変態タイミングを考慮してデータを再スクリーニングし、必要に応じて、クローニングおよび発現解析等を行なう。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Expression profiles of RA synthases and catabolic enzymes in newly hatched and metamorphosing larvae of Japanese flounder, Paralichthys olivaceus2018

    • 著者名/発表者名
      Chen Qiran、Yokoi Hayato、Suzuki Tohru
    • 雑誌名

      General and Comparative Endocrinology

      巻: 269 ページ: 60~67

    • DOI

      10.1016/j.ygcen.2018.08.015

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of Sox10-positive cells at the dorsal fin base of juvenile flounder that are correlated with blind-side skin ectopic pigmentation2018

    • 著者名/発表者名
      Togawa Mai、Endo Yuna、Suzuki Nobuo、Yokoi Hayato、Suzuki Tohru
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Zoology Part B: Molecular and Developmental Evolution

      巻: 330 ページ: 427~437

    • DOI

      10.1002/jez.b.22842

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒラメの着色型黒化進行に伴う脳と皮膚のtranscriptomeの変化2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤雄大、篠原怜、松田直往、田川正朋、横井勇人、鈴木徹
    • 学会等名
      日本水産学会春季大会
  • [学会発表] RNA-Seq screening of up- and down-regulated genes by retinoic acid in metamorphosing flounder larvae2019

    • 著者名/発表者名
      陳其然、横井勇人、鈴木徹
    • 学会等名
      日本水産学会春季大会
  • [学会発表] トランスクリプトーム解析により明らかになったササウシノシタの変態に伴う遺伝子発現プロファイルの変化2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤雄大、横井勇人、宇治督、鈴木徹
    • 学会等名
      日本水産学会春季大会
  • [学会発表] エレクトロポレーションを用いた魚類への遺伝子導入効果の検討2019

    • 著者名/発表者名
      岩泉雅樹、関根通陽、横井勇人、鈴木徹
    • 学会等名
      日本水産学会春季大会
  • [学会発表] 色素胞分化に関与する新規遺伝子の解析2019

    • 著者名/発表者名
      中村峻也、安齋賢、成瀬清、鈴木徹、横井勇人
    • 学会等名
      日本水産学会春季大会
  • [学会発表] Genes involved in pigment cell differentiation isolated by gene expression profiling of flounder metamorphosis2018

    • 著者名/発表者名
      Hayato Yokoi, Shunya Nakamura, Laura Cal, Josep Rotllant, Tohru Suzuki
    • 学会等名
      24th Japanese Medaka and Zebrafish Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] The bamboo sole (Heteromycteris japonica): A small-sized flatfish suitable as a laboratory model for metamorphic development in the Pleuroneciformes2018

    • 著者名/発表者名
      Tohru Suzuki, Chen Qiran, Hayato Yokoi
    • 学会等名
      24th Japanese Medaka and Zebrafish Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] ササウシノシタ(Heteromycteris japonica)仔魚における鰭神経回路の発生と色素前駆細胞の局在2018

    • 著者名/発表者名
      菊池美希、齋藤雄大、遠藤優女、陳其然、横井勇人、宇治督、鈴木徹
    • 学会等名
      日本動物学会第89回札幌大会

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公開日: 2019-12-27  

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