研究課題/領域番号 |
15KK0284
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
高山 弘太郎 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (40380266)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2019
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キーワード | 植物診断 / 画像計測 / 光合成 / 蒸散 / モデル / 生体情報計測 |
研究実績の概要 |
本研究では,世界に先駆けた太陽光植物工場の知能的環境制御の確立を目指し,平成29年度まで実施していた科研費にて開発したクロロフィル(Chl)蛍光画像計測ロボットをベースとした高精度生体情報計測技術と国際共同研究者(外国機関)(Prof. van Henten, Wageningen UR)が有する世界最先端のオートメーションと生育シミュレーションモデルの知見とを融合して,リアルタイムにチューニングされる高精度トマト生育シミュレーションモデルの開発と確度の高いフィードフォワード環境制御アルゴリズムの構築を行う。本年度はオランダの商業的太陽光植物工場および日本(愛媛大学および豊橋技術科学大学)の研究用太陽光植物工場において日単位の生体情報を取得し,生育シミュレーションモデル構築のためのデータを取得した。なお,完全自動運転が可能なつり下げ型画像計測ロボットを活用することで,毎日の安定的な生体情報取得を可能にした。なお,つり下げ型画像計測ロボットには,Chl蛍光画像計測による生育指標(茎伸長・葉量等)計測に加えて,果実肥大・果実着色速度計測アルゴリズムを追加した。さらに,光合成蒸散リアルタイムモニタリングシステム(開放型同化箱法により光合成速度と蒸散速度の約5分間隔でのモニタリングを可能にする)を用いて,生育の根源となる光合成量の実測することとした。なお,光合成蒸散リアルタイムモニタリングシステムを用いて計測された光合成速度データにより,環境要因を説明変数とした光合成速度シミュレーションモデルを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は,作型の中期において大発生した虫害による植物体の完全撤去や強風を伴うストームによる施設破損といった当初想定していなかった事態が生じ,十分な計測期間を確保することが困難となり,モデル構築のための十分なデータ量を確保出来ずに研究の進捗が遅れたが,その後は,順調に生体情報計測(オランダだけでなく日本国内でも並行して計測を行うことでリスクを低減させた)を行うことができており,おおむね順調に研究が進捗していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年の6月から7月を目途に短期の渡航を行い,日本国内で開発した多元的画像計測システムをオランダの商業的太陽光植物工場(調整中であるが,Wageningen URへの導入も検討中)に導入し,安定した生体情報計測を実施する。さらに,光合成蒸散リアルタイムモニタリングシステムを併用することで,光合成産物の転流および水の動態モデルを考慮した生育モデルの開発を行う。
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