研究実績の概要 |
小児の重症心不全治療に対しては、現在のところ心臓移植のほかに長期循環補助を実現する代替手段はない。本研究では、基盤研究(B)の展開として、ナノテク形状記憶合金線維を応用した小児の重症心不全治療にも適用できる超小型の埋込型人工心筋システム開発プラットフォームを創生し、国際標準の安全性有効性評価を国際共同研究により実施する。これまでに、心外導管(TCPC, total cavopulmonary connection)の収縮補助するものと右心室壁を力学的に補助する方法論の開発基盤を構築しつつあり、併せて動物実験および循環シミュレーション系においても性能評価を進めている。現在まで に右心型人工心筋・拍動循環補助デバイス改良において、これらの基盤で国際共同研究を実施し、主として以下の結果をまとめつつある。 1)Macquarie University;血管及び血液導管の材料変形にともなう流体境界条件の変動による流体内剪断速度変化と圧変動について、単一腔形状モデルを用いて内部流体の流線解析を含めて実施した。造影画像解析による境界面の設定についても実施し、動物実験データおよび実臨床データのままの境界条件における内部流体解析についても展開し、動物実験と併用したデータ集積により医療機器開発における新たな非臨床試験系を構築しつつある。 2)University of Sheffield;血管内形状に弁様の可変境界をもつ低圧低流速の逆流抑止装置構造について、右心系肺循環の低レイノルズ数領域での血流動態および受動的な逆流抑止弁形状の多点計測による高精度で形状の三次元構築が可能な高速度画像を用いたDIC(digital image correlation)手法を共同で構築した。これらの研究は先端解析技術を応用しつつ医工学医用物理学を横断的に応用し新たな医療機器の安全性非臨床試験の方法論となりうる。
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