本研究は、特に抑制系伝達物質としてもインスリン抵抗性の形成にも双方に深く関与していることが知られているγ-アミノ酪酸(GABA)に焦点を当て、治療抵抗性気分障害におけるインスリン抵抗性の病態生理学的影響を明らかにすることを目的に、治療抵抗性気分障害群、治療反応の得られた気分障害群、および健常群の3群を対象として、空腹時採血によるインスリン抵抗性の定量的評価、超音波診断装置を用いた頚動脈内膜・中膜複合体厚測定(IMT)、MRI-T1強調および拡散テンソル画像、脳内血流検査(ASL)、安静時機能的MRI、MRスペクトロスコピー(MRS)によるGABA濃度測定などのMRI諸検査、イオマゼニルSPECTを用いたGABA-Aレセプター分布の定性的評価を施行し、各群間・群内において、インスリン抵抗性や動脈硬化重症度、大脳灰白質の局所体積や連結性、あるいは大脳白質の異方向性比率、灰白質内GABA濃度やGARA-Aレセプター分布など多因子の関連性を包括的に解析・検討するものである。その際、得られたマルチモダリティーデータ解析のための新規技術開発のため、マギル大およびオタワ大との共同研究を行った。
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