現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,University of Wisconsinを訪問し共同研究を行った.具体的には,Department of Surgery, University of Wisconsin School of Medicine and Public Health(Chairman: Prof. Timothy M McCulloch, MD, Ph.D)に2017年5月より2018年2月まで長期出張し,舌圧と咽頭圧の同期測定を行った. 舌圧は,5か所の測定点を持つ舌圧センサシートシステムを用いて計測した.また,咽頭圧は36か所の測定点を持つハイレゾリューションマノメトリーを用いて計測を行った.その結果,水嚥下時には前方部における舌圧もしくは上咽頭部の圧が最初に発現し,舌圧・中咽頭・下咽頭の圧はほぼ同じような時間に消失していた.また,舌圧持続時間は食道入口部開大時間よりも長かった.これらの傾向は,嚥下量や液体の粘度が異なっても保たれていた.一方,舌圧から下咽頭における圧伝搬は二次曲線によく近似されることがわかり,そのx切片は粘度が高いほうが大きく,圧伝搬が遅くなる傾向が認められた.さらに,努力嚥下時には,舌圧・咽頭圧ともに上昇したが,舌圧の上昇率は咽頭圧の上昇率よりも高くなった.また,舌前方保持嚥下時には後方側方部での舌圧が上昇するが,咽頭圧の上昇は認められなかった. 課題はおおむね研究計画どおりにすすんでおり,得られた結果も想定通りのものであったことから,おおむね順調に進行しているものと考えられる.
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