研究課題/領域番号 |
15KK0303
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
衣斐 寛倫 金沢大学, がん進展制御研究所, 准教授 (00645145)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2018
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キーワード | KRAS / 上皮間葉移行 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的である、MEK阻害薬とFGFR阻害薬の併用療法の有効性の証明については順調に進捗している。一方で、国際共同研究については、Engelman氏がハーバード大学からノバルティス社に移動したため、共同研究者には変更がないものの共同研究先を変更する必要が発生した。マウス実験(ヒトゼノグラフトモデル)については、ハーバード大学の研究施設で行う予定としていたが、ノバルティス社はヒトゼノグラフトモデルを1000以上の樹立・保有しており研究の遂行には問題がないものと考えられた。また、ノバルティス社は、FGFR阻害薬、MEK阻害薬についても複数の承認薬および開発中の化合物を保有していることから、KRAS変異肺がんに対するFGFR阻害薬とMEK阻害薬の併用療法の有効性の評価について、より実際の臨床試験に近い形での評価が可能になると考えられた。さらに、ノバルティス社は多数の低分子化合物ライブラリーを保有している。FGFR阻害薬とMEK阻害薬の併用療法の有用性はこれまで明らかにしてきたところではあるが、評価に用いたKRAS変異肺がん細胞株のうち4株では併用効果を認めないなど、無効な一群が存在することがすでに明らかとなっている。これらの腫瘍における抵抗性の解明、および新規治療の開発に、低分子化合物ライブラリーを用いた解析が有用であると考えられる。以上から、共同研究先をノバルティス社に変更し、Engelman博士およびノバルティス社のRAS研究チームとも研究の方向性について打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のごとく、本研究課題の目的であるMEK阻害薬とFGFR阻害薬の併用療法の有効性の証明については順調に進捗する一方で、共同研究先の変更が必要となったため共同研究の開始については遅れている。ノバルティス社が持つ豊富なリソースを本研究に活用することが重要と考えられ、調整を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
次年度末にノバルティスバイオメディカル研究所での研究を開始予定である。その準備段階として、研究所内のRAS研究グループとのface to face meetingを29年度中盤までに行い、その後も定期的なテレカンファレンスを予定している。これらにより、両パスウエイの標的分子のうち、ノバルティス社が保有する新規標的化合物については、秘密保持契約を締結の上、基礎的検討を開始する。
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