研究課題/領域番号 |
15KK0305
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
臧 黎清 三重大学, 地域イノベーション学研究科, 助教 (10437105)
|
研究期間 (年度) |
2016 – 2017
|
キーワード | 骨格筋インスリン抵抗 / ゼブラフィッシュ / 耐糖能異常 / 治療標的遺伝子 |
研究実績の概要 |
日本では肥満を伴うインスリン分泌低下と感受性低下(インスリン抵抗性)を主原因とした糖尿病とその予備軍、耐糖能異常の患者数が急増し、迅速に対策を取る必要のある社会問題となっている。現在、糖尿病や耐糖能異常の診断には、血糖値やHbA1cなどに依存した指標が用いられているが、糖尿病を超早期、いわゆる前病段階で診断するためには、初期の代謝異常を鋭敏に捉える新たなバイオマーカーが必要である。一方、骨格筋と肝臓はインスリンの主要な作用臓器であり、特に骨格筋はヒトにおいて最大のグルコースの消費臓器である。骨格筋におけるインスリン抵抗性は2 型糖尿病の原因の1つであり、心筋梗塞や脳卒中などの大血管合併症や、腎症や網膜症などの細小血管合併症の発症要因にもなっている。肥満によるインスリン抵抗性発症メカニズムを明らかにすることは、2 型糖尿病およびその合併症の予防と治療において最大の研究テーマであり、世界的な課題となっている。 我々は耐糖能異常にフォーカスした研究を食餌性肥満ゼブラフィッシュで行い、新規バイオマーカー・治療標的遺伝子候補を発見してきた。本研究では、耐糖能異常の治療標的遺伝子の臨床応用への第一段階として、その作用メカニズム、特にインスリン抵抗性の関係についての解析を行うため、米国ヴァンダービルト大学医学部のWenbiao Chen教授と国際共同研究を実施する。 本年度は、Chen教授の研究チームが作製したIGF-I receptor 機能阻害により骨格筋インスリン抵抗ゼブラフィッシュ (zMIR ゼブラフィッシュ)を用いて、耐糖能異常を誘導する予定である。現在、実験必要なzMIR ゼブラフィッシュ成魚個体を育成中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
渡航後、迅速に研究活動を始めたが、本研究に必要なzMIR ゼブラフィッシュ成魚個体数は不足しているため、現在育成中である。この状況から、研究実施計画に照らし合わせ、やや遅れていると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、zMIR ゼブラフィッシュに耐糖能異常を誘導し、各候補遺伝子の経時的発現量を解析する。次に、変化を認めた遺伝子群に対するノックアウトゼブラフィッシュを作製し、ベースの表現型解析を行う。最後、ノックアウトモデルに対し過剰給餌を行い、耐糖能・インスリン動態を中心とした表現型解析および関連遺伝子の発現解析を行う。進捗状況を「(3) やや遅れている」としたが、ノックアウトモデルの作製に時間が短縮することができるため、最大限の効率化を図りつつ当初申請計画通りの研究遂行に鋭意努力する。
|