研究課題
本国際共同研究課題では、基課題の最終目標である「スフィンゴシン1-リン酸(S1P)シグナリングによるエクソソームへの積荷ソーティング機構を標的とする癌転移抑制剤の開発」を加速するために、エクソソームへの積荷ソーティングにおけるS1PによるプロテインキナーゼCζ(PKCζ)活性化のメカニズムを明らかにすることを目的としている。令和元年度は、「課題2」の「分子構造的アプローチによるS1P-PKCζ相互作用の詳細解明」および「課題3」の「癌の増悪および遠隔転移におけるS1P-PKCζシグナリングの役割の解明」について研究を行った。「課題2」については、昨年度までに明らかにしたS1PとPKCζのアミノ酸レベルでの相互作用について、より詳細な分子メカニズムの解明を目指しS1PとPKCζ自身のリン酸化との関係を検討した。その結果S1P の直接作用によるPKCζの活性化にはPKCζ自身のリン酸化が重要であることを明らかにした。また、「課題3」については、昨年度までに明らかにしたS1P-PKCζ相互作用の癌増悪との関係について、栄養飢餓ストレスとの関連を検討した。その結果S1P-PKCζシグナリングが、様々な飢餓ストレス環境下において癌細胞のアポトーシス誘導にブレーキをかけ、癌細胞の生存および癌増悪を引き起こすことを見出した。また令和元年度は、本研究課題で明らかにした飢餓ストレス下での癌細胞のアポトーシス抵抗性におけるS1P-PKCζシグナリングの分子レベルでの作用メカニズムに関する研究成果を国内外の研究集会で報告した。
すべて 2019 2016
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Nature cell biology
巻: 21 ページ: 359 - 371
https://doi.org/10.1038/s41556-019-0291-8