研究課題
本研究は、microRNA (miRNA)を含むエクソソームの機能を明らかにすることで新たな変形性関節症(OA)発症ネットワーク機構の提唱とOA治療法や診断法の開発の基盤となるデータ取得を目的とし、米国スクリプス研究所分子医学部門Martin Lotz教授と共同研究を行った。ヒト膝関節より関節軟骨を採取し、病理組織学的解析および遺伝子発現解析の結果より、正常関節軟骨と初期OA、後期OA関節軟骨に分類し、各々の関節軟骨組織より軟骨細胞を単離・培養し、初代細胞および継代細胞、またこれらの各培養上清よりエクソソームを収集した。各エクソソーム中のmiRNAの発現解析を行った結果、正常関節軟骨細胞内で高発現および高分泌している数種のmiRNAに注目した。そして、これらmiRNAは、OA関節軟骨細胞内において発現が低下していただけでなく、分泌型miRNAとしても低下していた。この中で注目したmiRNAについてCol2-Cre およびAcan-CreERTマウスと交配することで2種類の軟骨特異的にmiRNAを過剰発現するマウスを作製し、現在成長およびOAに対する影響について解析中である。このmiRNAの発現制御メカニズムについても解析を行い、寿命、細胞周期、酸化ストレスなどに重要な役割を示すことが示されている転写因子や軟骨マスター転写因子であるSOX9によって制御されていることが示唆された。さらに、これらmiRNAの標的遺伝子の探索を行い、標的候補遺伝子を同定した。また、加齢による自然発症モデルと靭帯切離によるOA誘導モデルの2つのOAモデルマウスを用いてOA発症に関連がある軟骨下骨の組織学的変化を評価するための新たなスコアリングシステムを開発した。
すべて 2018 2016
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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