研究実績の概要 |
今年度は、早産羊4頭を用いて、実験を行った。母羊は、静脈麻酔下に気管内挿管、人工呼吸器管理とした後、全身麻酔下に母羊を開腹し、胎児羊の上半身を露出後、左正中神経を描出し、電気刺激用電極を上腕正中神経に(図2B)とりつける。また、右上腕動脈に動脈ラインを確保した(担当:Flora Wong、中村)。シンクロトロンによる撮影実験では、内頚動脈に造影剤投与用の動脈ラインを留置後、気管内挿管をし、人工呼吸器下に呼吸サポートを開始し、人工サーファクタントを投与後に、臍帯結紮を行い、児を娩出する。その後保温を行いながら、シンクロトロン撮影ハッチ内へ移動。大脳皮質感覚野の部位に左右対称に2対ずつNIRSプローブと脳波電極を頭部装着後、電気的刺激を与えて生じる脳内Hb変化を検討する。3種類の異なる長さの刺激(1.8, 4.8, 7.8秒)を無作為に行い、SEP反応やNIRSによる脳内Hb反応、synchrotronイマジングによる微細血管変化を調べた。SEP、脳内Hb変化は専用ソフトウェアによる加算平均し解析した。その結果、早産児羊では、より長い時間の刺激になると、OxyHbの増加が著名となり、その場合、毛細血管の拡張も顕著となることが分かった。さらに、血管径毎に、刺激前後での拡張有無があるかを調べたところ、血管径が小さいものほど、刺激によって拡張が多い事がわかった。
|