研究実績の概要 |
申請者は、2008年和歌山において変性脊椎疾患の疫学的実態を解明するために立ち上げたThe Wakayama Spine Studyのデータ(患者の基礎データ、エックス線・MRIの画像データ)を渡航の際に持って来た。申請者の渡航先であるサザンプトン大学ライフコースMRC疫学ユニットはいくつもの疫学コホートを持ち、疫学研究のスペシャリストが多く在籍する。彼らの協力を得て脊椎疾患のリスクファクターの解明を行っている。 申請者は過去に腰部脊柱管狭窄症の有病率(OAC, 2012)、また画像と症状(OAC, 2013)と関係、また腰椎すべりと症状の関係(SPINE, 2016)について報告して来た。当ユニットでは、MRI上の腰部脊柱管狭窄とエックス線上の腰椎すべりに対するリスクファクターの解明を行った。これら2つの論文についてはそれぞれ SPINEとOccupational Environmental Medicineに投稿中である。またMRI上の変性腰椎の有病率とその症状の関係についても現在執筆中である。 またThe Wakayama Spine Studyは10年にもわたる追跡コホートであり、各疾患の自然経過を解明することも責務である。このため各画像を読影することも必須であるが、専門医とは言え個人が読影することはバイアスの危険性の可能性が高い。この問題を解決すべく申請者はオックスフォード大学とコラボレーションを行い彼らが開発したMRI画像解析装置を使用してわれわれの画像を解読することを考えている。現在申請者の読影と彼らの読影との信頼性について、また彼らの装置が申請者の読影を学習し、その信頼性を確かめる作業を行っている。
|