大脳皮質の臨界期可塑性の研究は、言語獲得等にも同様の臨界期がある事が明らかにされると、大脳皮質の学習のメカニズムに繋がると考えられ、膨大な実験がなされたが、臨界期全体がどのように進んでいくのかという全体像は不明瞭なままであった。我々は投射回路形成と可塑性を調べる一連の研究により、視床皮質投射形成からいかにして臨界期開始に至るかを説明するモデルを始めて提唱し、臨界期のメカニズムの解明に大きく寄与することができた。また、このメカニズムにカンナビノイドが深く関与していることを明らかにしたが、しばしば乱用される大麻が大変危険であると言うことに科学的根拠を加えたという点においても、社会的な意義は大きい。
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