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2017 年度 実施状況報告書

抗癌剤抵抗性骨肉腫に対する新規治療法の開発(国際共同研究強化)

研究課題

研究課題/領域番号 15KK0319
研究機関順天堂大学

研究代表者

窪田 大介  順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (70638197)

研究期間 (年度) 2016 – 2018
キーワード骨肉腫 / 薬剤耐性 / チロシンキナーゼ
研究実績の概要

本研究は、悪性骨腫瘍の代表的疾患である骨肉腫について、特に抗がん剤抵抗性の骨肉腫を対象に、その抵抗性のメカニズムを解明すること、新規治療法を開発することを目的としている。我々は先行研究で同定した抗がん剤抵抗性に関わるタンパク質やマイクロRNAのバイオマーカーを治療標的と考え、その阻害剤についての抗腫瘍効果について検討を重ねてきた。
今年度は骨肉腫における治療抵抗性のメカニズム解析として、チロシンキナーゼ遺伝子を中心にnanoStringによる発現解析を行った。骨肉腫はheterogeneityの強い腫瘍であることが一般的に知られており、全例に共通した遺伝子変異は認められなかったが、4種類のチロシンキナーゼの発現異常を認める症例があり、これらを標的とするチロシンキナーゼ阻害剤については新規治療の候補となる可能性が考えられた。またその他にもRAS遺伝子やAKTなど、阻害剤の存在する遺伝子の発現異常も確認した。
骨肉腫の予後不良症例ではTP53遺伝子やRb遺伝子の発現異常を認めた。また、抗癌剤奏効性予測のバイオマーカーであるマイクロRNAの標的遺伝子の1つであるMDM2の発現異常を認めた。一方、抗癌剤抵抗性に関わる遺伝子として一般的なP-糖タンパク質(ABCB1、MDR1)やMRP1(ABCC1) 、BCRP(ABCG2)については発現異常を認めなかった。
今後は今回の解析で同定した遺伝子発現異常に対しての機能解析および、新規治療標的としての有用性を検討していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2017年7月よりアメリカ合衆国のMemorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC, ニューヨーク州ニューヨーク)に出向し、本課題に対する研究を開始した。主に骨肉腫の予後予測バイオマーカー、抗がん剤抵抗性の骨肉腫症例に対する新規治療法の開発とそのメカニズムの解析についての研究を行っている。
今年度は現在までに同定してきたバイオマーカー候補について、MSKCCの多数の骨肉腫症例を用いて発現解析を行い、バイオマーカーの検証および、治療標的としての有用性について検討を行ってきた。MSKCCには多数の骨肉腫症例が蓄積されており、有意義な解析が可能であった。解析の結果、従来のバイオマーカーや治療標的遺伝子だけでなく、新規の治療標的となり得る遺伝子を同定する事ができた。
マイクロRNAバイオマーカーに関しては、その主な標的遺伝子が骨肉腫の治療抵抗性や予後に関与する傾向をMSKCCの症例においても確認した。しかし、マイクロRNAは複数の標的遺伝子を有しているため、治療標的として妥当であるかを判断するためには、その他の標的遺伝子の発現についても解析を進めていく必要がある。

今後の研究の推進方策

今年度はnanostringを用いてMSKCCの骨肉腫症例を対象に、チロシンキナーゼなど治療標的となり得る遺伝子の発現異常についての解析を行い、複数のターゲット候補遺伝子を同定した。引き続き、他のがん遺伝子についての検討を進めていくと同時に、同定した候補遺伝子に対しては、骨肉腫細胞株を用いた機能解析や、その遺伝子を標的とする阻害剤の抗腫瘍効果について検討していく。
またマイクロRNAの新規治療法としての妥当性についての検討も並行して進めていく。マイクロRNAはmRNA発現のregulatorとなる微小RNAであり、標的とするRNAが複数存在することが知られている。候補のマイクロRNAが標的とするRNAについて、がん遺伝子・がん抑制遺伝子に分けてその機能について解析する。また、マイクロRNAを標的とした治療が単独で奏効するものかの検討も進めていきたい。
このように国際共同研究を通して、骨肉腫の大規模な発現解析、および検証を進めてきた。今後はこれらの結果に基づき、抗がん剤抵抗性骨肉腫に対する新規治療法の開発を目指し、研究を進めていきたい。

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公開日: 2018-12-17  

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