研究課題/領域番号 |
15KK0319
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
窪田 大介 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (70638197)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2019
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キーワード | 骨肉腫 / 薬剤耐性 / チロシンキナーゼ |
研究実績の概要 |
本研究は、悪性骨腫瘍の代表的疾患である骨肉腫について、特に抗がん剤抵抗性の骨肉腫を対象に、その抵抗性のメカニズムを解明すること、新規治療法を開発することを目的としている。我々は先行研究で同定した抗がん剤抵抗性に関わるタンパク質やマイクロRNAのバイオマーカーを治療標的と考え、その阻害剤についての抗腫瘍効果について検討を重ねてきた。 今年度は骨肉腫における治療抵抗性のメカニズム解析として、チロシンキナーゼ遺伝子を中心にnanoStringによる発現解析を行った。骨肉腫はheterogeneityの強い腫瘍であることが一般的に知られており、全例に共通した遺伝子変異は認められなかったが、4種類のチロシンキナーゼの発現異常を認める症例があり、これらを標的とするチロシンキナーゼ阻害剤については新規治療の候補となる可能性が考えられた。またその他にもRAS遺伝子やAKTなど、阻害剤の存在する遺伝子の発現異常も確認した。そこで、今年度は同定したチロシンキナーゼ異常に対して、骨肉腫細胞モデルの作成を試みた。4種類のチロシンキナーゼについて、プラスミドを作成した。レンチウィルスベクターへ組み込んだ後、骨肉腫細胞株(HOS/SaOS2)へ恒常的に高発現させた細胞モデルを作成した。 今後は今回の解析で同定した遺伝子発現異常に対して、骨肉腫細胞モデルを用いた機能解析を行い、該当のチロシンキナーゼ阻害剤についての有用性を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2017年よりアメリカ合衆国のMemorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC, ニューヨーク州ニューヨーク)に出向し、本課題に対する研究を開始した。主に骨肉腫の予後予測バイオマーカー、抗がん剤抵抗性の骨肉腫症例に対する新規治療法の開発とそのメカニズムの解析についての研究を行っている。現在までに同定してきたバイオマーカー候補について、MSKCCの多数の骨肉腫症例を用いて発現解析を行い、バイオマーカーの検証および、治療標的としての有用性について検討を行ってきた。MSKCCには多数の骨肉腫症例が蓄積されており、有意義な解析が可能であった。解析の結果、従来のバイオマーカーや治療標的遺伝子だけでなく、新規の治療標的となり得る遺伝子を同定した。今年度は同定した新規遺伝子異常に対して、骨肉腫細胞株を用いた恒常発現細胞モデルの作成を行った。複数の遺伝子異常が同時に起こっている症例があるため、その細胞モデルの作成に時間を要し、予定より若干の遅れを認める結果となり、本研究課題につき期間延長を申請させた頂いた。
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今後の研究の推進方策 |
現在までにnanostringを用いてMSKCCの骨肉腫症例を対象に、チロシンキナーゼなど治療標的となり得る遺伝子の発現異常についての解析を行い、複数のターゲット候補遺伝子を同定した。引き続き、他のがん遺伝子についての検討を進めていくと同時に、同定した候補遺伝子に対しては、作成した骨肉腫の恒常発現細胞モデルを用いて、機能解析や、その遺伝子を標的とする阻害剤の抗腫瘍効果について検討していく。 このように国際共同研究を通して、骨肉腫の大規模な発現解析、および検証を進めてきた。今後はこれらの結果に基づき、抗がん剤抵抗性骨肉腫に対する新規治療法の開発を目指し、研究を進めていきたい。
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